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オフィス移転の費用・予算とは?
~項目、ポイント、事例などを紹介~

お役立ち情報/基礎知識2026年02月17日

オフィス移転の費用・予算には、新オフィスの賃貸借契約にかかる費用や内装工事費、什器購入費、引越し費用、旧オフィスの原状回復費など、プロジェクト全体を通して発生するコストが含まれます。

近年、建築資材価格や労務費の上昇が続く中、オフィス構築コストの予測は益々難しくなっています。オフィス移転を成功させるためには経営的な視点で適正な予算を策定し、透明性を保ちながらコストをコントロールすることが重要です。

この記事では、オフィス移転に必要な費用の項目や内訳、予算超過を防ぐための予算策定・コストマネジメントの具体的なポイント、実際に費用対効果を高めたマネジメント事例などを紹介します。

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オフィス移転で必要な費用・予算とは?

オフィス移転では、非常に多岐にわたる費用・予算の全体像を、正確に把握することが必要です。移転と聞くと、単に「引越し代」や「新しいオフィスの内装費」だけをイメージしがちですが、実際には見落としがちなコストが数多く存在します。

オフィス移転にかかる費用について、代表的なカテゴリーを紹介します。カテゴリーごとのポイントをおさえておくことで、見落としがちなコストの洗い出しに役立ちます。

主な費用カテゴリーとしては、工事費用、家具、AV・受付システム関連費用、セキュリティ、引越し費用、ネットワーク費用、委託料、原状回復、その他特殊工事・作業費用の9つがあります。

このように、オフィス移転の費用・予算は多岐にわたります。プロジェクト全体の予算を適切に管理するために、これらのカテゴリーにわたる多様な項目を漏れなく管理することが重要です。

項目 内容
内装・設備工事費用 必要となる諸室・設備要件、導入する素材のグレードやデザインのこだわり、工事を行う範囲の広さ、工事の発注先等によって費用が変動します。
家具費用 新規・転用の有無、働き方や社員人数等、製品のグレードやデザインのこだわりによって費用が変動します。
AV・受付システム関連費用 オフィスの規模や会議室の数、導入する機器のスペックやシステムの複雑さ等によって費用が変動します。
セキュリティ工事費用 物理的セキュリティポリシーや入退室管理システム・監視カメラの性能等、設定するセキュリティレベルによって費用が変動します。
引越し費用 荷物の量、新旧オフィス間の移動距離、梱包や開梱を業者に委託するなど、委託する内容によって費用が変動します
ネットワークと電話工事 オフィスの広さ、必要な回線数、導入するネットワーク機器の性能等によって費用が変わってきます。
委託料 委託する業務の範囲や、プロジェクトの規模・期間等によって費用が変動します。
原状回復 借りているオフィスの面積、入居時に行った内装変更の度合い、賃貸借契約書に定められた回復の範囲等によって費用が変動します。
その他特殊工事・作業費用 企業の特別な要件や、導入する設備の特殊性等によって費用が発生します。

オフィス移転の予算策定・移転費用削減のポイント

オフィス移転の全体予算や移転費用を削減するためには、予算範囲と工事・家具・機器・作業等の調達方法の明確化や内装・設備要件の早期決定、予算の変動を見越したコストコントロールのシナリオの策定などを考慮する必要があります。

ここでは、予算策定や移転費用削減のポイントを紹介します。

ポイント1:オフィス移転の初期段階で費用項目の全体像を捉え、予算の範囲と工事・家具・機器・作業等の調達方法を明確にする

オフィス移転の予算管理で手戻りを防ぐためには、費用の全体像を捉え、予算の適用範囲と工事・家具・機器・作業等の調達方法を明確にすることが重要です。

移転費用は内装工事費やICT関連費用(システム・電話・LAN等)、引越し費用、原状回復費用など多岐にわたるため、各費用項目について「今回のプロジェクト予算にどこまでを含めるか」といった線引きが重要になります。

また、計上漏れやトラブルを防ぐには、社内外の作業範囲の定義も重要です。社内では各項目を主管する部署を定めてタスクの放置を防ぎ、専門業者に対しては専門領域を適切に振り分けることで、ミスマッチによる手戻りを回避できます。

このように費用の全体像と予算の範囲と社内外の作業範囲を明確にすることが、手戻りのない予算策定を実現するポイントとなります。

オフィス移転に必要な主な工事種別と概要のイメージ。工事だけでも必要な項目は多岐にわたるため、各項目の予算範囲と社内外の役割を明確にすることが重要です

ポイント2:オフィス移転の工事費に大きく影響する内装グレードや特殊設備の要件を早期に整理する

オフィス移転の予算精度を高めるためには、オフィスの内装グレードや、各箇所の仕様、特殊設備の有無について、プロジェクトの早い段階で情報を整理しておくことが重要です。

オフィス移転の予算の中でも、部屋数や作りこみ度合いによってコストが大きく変動する内装工事・設備工事費は、デザイン性とコストのバランスを早期に比較検討することが重要です。天井の仕上げや一部の間仕切りに天井スケルトンやガラス間仕切りなどの最新のトレンドを取り入れるか、標準的な仕様にするかなど、それぞれの選択がコストにどの程度の影響を与えるかを把握し、予算内で最適なバランスを見極めることが必要です。

また、基本計画の初期段階で特殊設備の要件(電源、配線、荷重など)を洗い出すことも重要です。 特殊な機器等の場合、発注候補先から事前に情報を収集しておくことで、手戻りや想定外のコスト増を防ぐことができます。

このように、予算の変動要素の大きい、内装グレードや特殊設備の要件を早期に把握しておくことが、想定外の予算超過を回避する予算を策定につながります。

内装グレード比較表のイメージ。天井、壁、床などの仕上げや家具、設備などの条件を細かく設定して比較することで、発注者にとってコストとデザインの最適なバランスを見極めることができます

ポイント3:オフィス移転のコスト増減を見越した「コストコントロールのシナリオ」を策定し、段階的に予算内へ収束させる

予算超過を防ぐためには、プロジェクトの進行に伴う一時的な予算超過を見越し、最終的に予算内に収めるための「コストコントロールのシナリオ」を策定しておくことが重要です。

設計が進むと要望の追加により費用が増加しがちですが、あらかじめ減額調整(VE/CD)項目や入札の結果と、その対応をスケジュールに想定しておくことで、予算調整による移転スケジュールへの影響を心配することなくプロジェクトを進めることができます。

また、段階的に進む発注業務の中で発生しうる想定外の費用も、リスクとして予算・スケジュールに織り込んでおくことが重要です。「どの段階で発生したズレを、いつどのように回収して予算内に着地させるか」をシナリオとして持ち、意図的にコントロールすることで、適正な予算管理が可能になります。

コスト増減を見越したシナリオに基づき、段階的に予算内へ収束させることが、プロジェクト成功のポイントとなります。

プロジェクトのコスト推移とコスト比率のイメージ。一時的な超過を見越し、VE/CDや入札などの調整局面をスケジュールに組み込むことで、段階的に予算内へ着地させることが可能です
(参照:明豊FW支援プロジェクト 住信SBIネット銀行様 拠点集約プロジェクト)

事例:オフィス移転の費用マネジメントの事例

オフィス移転の実績が豊富な明豊FWが、プロジェクトマネジメント(PM)を担当し、コストマネジメントを行った事例を紹介します。

住信SBIネット銀行様の拠点集約プロジェクト

都内4拠点のオフィスを六本木地区、中野地区の2拠点に再編。厳格な予算管理により、当初の予算枠を遵守しながら、拠点統合によるコミュニケーションの円滑化、意思決定スピード向上、執務スペースの最適化など、働きやすい環境の構築を実現したオフィス構築・移転プロジェクトです。

オフィス移転の費用・予算マネジメントのポイント・効果は以下の通りです。

  • 予算内、スケジュール内でプロジェクト完遂
    PMによる緻密な進捗・コスト管理により、コスト推移を常時可視化しました。これによりプロジェクトの途中で発生する追加で検討したい施策についても、お客様と予算内でどうすれば実現できるかを検討し、意思決定を支援する環境を整えました。その取り組みもあり、プロジェクト全体での、当初の予算内かつ予定通りのスケジュールで完遂しました
  • 投資効果の最大化
    執務スペースは「1人あたり1.6坪→3.0坪」へと約2倍に拡張。さらに会議室数も約2.7倍(18部屋→49部屋)に増強し、より高機能かつゆとりのあるオフィス環境をつくりました。品質とコストの最適化を図りながら、これを予算内で実現しました
  • プロジェクト全体のコストイメージの把握と成功へのシナリオの構築
    分散していた4拠点を機能別に2拠点(六本木:柔軟性重視/中野:健康促進重視)へ集約し、拠点統合により、オフィス効率の最大化を実現されました。2つの拠点を同時に構築・移転するという複雑な工程でしたが、プロジェクトの早い段階でリスクとコストの把握に努め、手戻りのない円滑なプロジェクトの推進に寄与しました

オフィス紹介

エントランス
むき出しの素材感で新しいことに挑戦していく先進性を表現。
工事段階では何度もサンプルとCGを比較し、納得のいく仕上がりにこだわった。

待合スペース
ビルの躯体を活かし、あえてスラブ床とむき出しの天井とすることで、デザイン性と空間の拡がりを確保。

休憩エリア
休憩エリアには、オフィス内にコンビニエンスストアの店舗を導入。発注者・ビル・コンビニエンスストア各々のレギュレーションを調整し、win-winの関係で実現。

役員会議室
会議室の用途・大きさから検証を行い、最適なモニターサイズを決定。

執務エリア
業務効率化のため、各席にモニターを設置(部署によってはダブルモニターを導入)。

休憩エリア
照明の高さ一つ一つにこだわり、あえて一人席を置くことで、クイックな1to1のコミュニケーション機会を醸成。

まとめ:オフィス移転の予算策定を適正に行い、投資効果を最大化しよう

オフィス移転の費用は、工事費から原状回復費まで多岐にわたり、昨今の資材価格変動も影響するため、精度の高い予算策定と予算管理の難易度が高まっています。実績豊富なオフィス移転PM・コンサル会社に相談することで、経営視点での適正な予算策定を行い、透明性を保ちながらコストをコントロールすることが可能です。

オフィス移転の費用・予算管理のポイントは以下の通りです。

  1. オフィス移転費用は、工事費用、家具、AV・受付システム関連費用、セキュリティ、引越し費用、ネットワーク費用、委託料、原状回復、その他特殊工事・作業費用などのカテゴリーに及び、広範囲な項目の把握が必要
  2. 手戻りや計上漏れを防ぐため、初期段階でオフィス移転の費用の全体像を捉え、予算の適用範囲と社内外の役割分担を明確に定義することが重要
  3. オフィス移転の予算への影響が大きい内装グレードや特殊設備の要件は、早期に比較検討を行い、投資対効果に見合った方針を固めることが重要
  4. 設計進行に伴う一時的なコスト超過を見越し、減額調整(VE/CD)や競争原理の活用を織り込んだ「コストシナリオ」を描くことで、予算内での着地を確実にする
  5. 専門家(PM)によるマネジメントは、オフィス移転の予算遵守と投資効率の最大化の両立を実現できる

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